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研究内容 

 生産者(植物)と分解者(微生物、ミミズなどの土壌動物)はともに生態系を支える上でなくてはならない存在です。 しかし、分解者たちの多くは土の中に住む小さな生き物なので、目につきにくく、調べるのにとても手間暇がかかります。 そのため、分解者たちの生活や働きについては、地上の動植物に比べてまだ分からないことが多くあります。

 

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図.陸上生態系における物質の流れ

 

 

1. シカが土壌生態系に及ぼす影響

過去20年ほどの間に、日本各地の森でニホンジカの数が増加しているとみられ、それまでの植生が変わってしまうなど生態系に様々な影響を及ぼしていることが報告されています。

そこで、シカの増加が土壌生物や分解系の機能に対してどのような影響を与えているのかについて研究を行ってきました。特に、シカが林床に糞を排泄するとその周囲の分解者や落葉の分解速度にどのような影響が及ぶのか?シカが林床のササを採食すると土壌中の生物や養分の無機化機能にどのような影響が及ぶのか?といった観点から研究を行っています。 

 

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2. 全国の森林における地表徘徊性甲虫(※1)群集の地理変異・年変動の解析

環境省のモニタリングサイト1000(※2)森林・草原調査における地表徘徊性甲虫調査データのデータベース化、データ公開に向けた作業を行っています。

また、そのデータを用いて、地表徘徊性甲虫の群集構成の全国的パターンや、年変動パターンの解析を行っています。特に、気候条件との対応関係を調べることで、今後気候変動に伴う生態系の異変を監視していく上での基礎となる知見を得ることを目指しています。

 

※1 飛ぶ能力がないか弱く、主に地面を歩き回っている甲虫類。昆虫やミミズなどを捕食するものや、動物の死骸を食べるものが多い。環境変化への反応のしやすさや調査のしやすさから、環境指標生物として有用とされる。

※2 環境省による全国の自然環境モニタリング調査(2003年度〜)。その一環として全国各地の森林で毎年地表徘徊性甲虫の調査が行われている(モニタリングサイト1000森林・草原調査ホームページ)。 

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3. 林床の地表徘徊性甲虫群集のトップダウン・ボトムアップ制御

地表徘徊性甲虫の生息量の変動が、関連する生物群集のどのような変化を表しているのかを明らかにするために、捕食者(哺乳類など)、餌生物(ミミズなど)、餌生物の基礎的資源かつ生息場所である落葉の供給量を操作して、地表徘徊性甲虫への影響を調べています。

また、地表徘徊性甲虫とミミズの生息量の広域的な対応関係についても調査を進めています。

 

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4. ニセアカシアの侵入が河畔林の土壌線虫群集に及ぼす影響

外来樹木であるニセアカシア(ハリエンジュ)は、多くの在来樹木に比べて窒素分に富む分解されやすい落葉を供給するため、在来の森林に侵入することで分解系の生物群集や土壌の養分状態などにも大きな影響を及ぼしている可能性があります。河畔域の生態系管理を考える上で、様々な側面からニセアカシアによる生態系改変の実態について調査する必要があります。 

 

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その他(一部分担など)

・林床の腐食連鎖系におけるクモ類のトップダウン効果

・サケの死骸が林床の土壌動物群集、落葉分解に及ぼす効果

・水田の土壌線虫群集の特徴

・土壌サンプルの保存温度と線虫群集の経時変動

 


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